育児ってむずかしい…
自分の思ったとおりにならない
と、育児を経験した人の多くが言うと思います。
さらには、発達障害児の育児であれば、絶望的に難しい、絶望的にうまくいかない、という考えに落ち着くことが多いかもしれません。
しかし、そもそも、なぜ、育児というものは上達が難しいのでしょうか?
ゲームなどでは、やればやるほど上達するのに、育児ではそうではありません。
その違いは仕組みとやり方を知っているかどうかだと思います。
ゲームと同じで、育児の仕組みが分かれば、もう少しうまくいくことが増えるし、育児も楽しくなり、また上達もできるかもしれません。
では、育児における仕組みとは何なのか?
僕は『子供の人格がつくられるプロセス』だと思っています。
僕自身、このプロセスを知ったことにより、自閉症+軽度知的障害を持つ娘の異常なまでに気難しい特性と向き合いつつも、楽しく子供と関わり、育児も上達することができ、現在までの娘の育児に満足できる結果を得られたのだと思います。
冒頭にある動画の内容にもあるよう、今回の記事では、子供の人格がつくられるプロセス&具体的な方法についてお伝えいたします。(記事では、動画内では触れなかった部分もお伝えしております)
子供は、出来事+周囲からのリアクションよって人格をつくる
そもそも、私たちが「自分」と思っている人格は、どのようにつくられてきたのでしょうか。
おそらく、そこには、過去の出来事+周囲からの何らかのリアクションがあったのだと思います。
特に親や友人など、その身近にいた人がどのような態度をとったか?どのようなことを言ったか?によって、自分自身はこのような存在なんだと自覚をしていったのではないでしょうか。
例えば、
- 親から学校の点数を褒められた→「自分は勉強ができる存在」
- 親からお手伝いをしたときに褒められた→「自分は人から喜ばれる存在」
- 友達からのけ者にされた→「自分は人からのけ者にされがちな存在」
など、書ききれないほどの場面があると思います。
その一つ一つが私たちの人格をつくりあげているのは間違いありません。
ですので、良い育児をするということは、子供が良い人格をつくれるような関わり方をすること、といっても過言ではありません。
子供に良い人格をつくるための関わり方
子供に良い人格をつくるための関わり方には、無数のバリエーションがあると思います。
一例をあげるなら
子供が朝起きてきた時や、学校から帰ってくるときなどに大きく喜びを表現してあげるのも良いでしょう。
その際に「〇〇ちゃーん!(くん!)」と、手を広げてハグをしてあげるのも良いかもしれません。
私自身もこのようにしています。
このことにより、子供の中に「人から歓迎される自分」「人から喜ばれる自分」のような自己像がつくられ、無意識に、その子はその自分に従って行動していきやすくなります。
この場合ですと、人から歓迎される・人から喜ばれるような行動を無意識に行うようになっていきます。
また、不思議なことではありますが、
そうした「人から喜ばれる自分」のような自己像がその子につくられると、その子と関わる人たちは、実際にその子のことを好きになることが明らかに増えていくでしょう。
また、その子自身も、相手から好かれるような行動を自然としやすくなっていくと思います。
他には、お手伝いをしてくれた時などには、
「助かるよ、本当にありがとう!」と笑顔で言ってあげるのも良いでしょう。
こうしたことを続けると、子供には「人から頼りにされる自分」「人から喜ばれる自分」のようなものが築かれていきます。
ちょっと待って!
発達障害を持つ子供のお手伝いなんて、はっきり言って、邪魔でしかないじゃない。
そういうときはどうするの?
子供の行動が迷惑なときは?
そのお気持ち、とてもよく分かります。
ただ、そういったとき、子供の世界観の中においては”お手伝い”をしていることに間違いはありません。
その気持ちを汲んであげ、褒めたり、喜んであげることで、子供の中の「人から喜ばれる自分」が育っていき、いつしか、本当の意味でのお手伝いができるようになると思います。
実際のところ、子供の行動には親にとって迷惑なものも多いと思います。
ただ、その行動のつど感情的に怒ってばかりでは、子供の中に、『人に迷惑をかけてしまう自分』のようなものが出来てしまうでしょう。
すると、子供は無意識により一層、人に迷惑をかけてしまいがちになり、また、萎縮してしまうケースも多いでしょう。
では、子供の行動があまりにも迷惑な場合はどのようにするのが良いでしょうか?
子供の悪い行動をスルーして、良い行動を褒める・喜びを表す
子供がお手伝いの気持ちで何かをやって、失敗した時などに関しては、「手伝おうとしてくれたんだよね。ありがとう!」と言いながら抱きしめることや頭を撫でるなどのスキンシップをするのも良いでしょう。
他には、明らかに良くないいたずらなどの行動に関しては、できるだけスルーしつつ対処するのが良いと思います。
そして、何らかの良い行動をしていた時には褒めたり、喜びを表すのが大切だと思います。
このことにより、徐々に「人から喜ばれる自分」が子供の中に育っていき、全体として、問題行動が少なくなっていくでしょう。
では、次に、発達障害が強みに変わるというテーマについて書いていきます。
子供が”良い自分”を得るほど発達障害が強みに変わる理由
発達障害の程度にもよるとは思うのですが、ADHDや自閉スぺクラム症など、あらゆる”特性”は強みに変わりえる可能性を秘めていると思います。
例えば、私の娘は自閉スぺクラム症(自閉症)と軽度知的障害を合わせ持っています。
自閉症には「過去の辛い記憶に囚われやすい」という特性があるのですが、私の娘も4歳頃までは過去の嫌なことを思い出しては癇癪を起こしていました。
娘も辛いですが、それは親としてもとてつもなく辛いものでした。
ただ、娘が小さい頃から、この記事にあるような、”良い自分”が娘に身に付くような関わり方をしていた結果、娘はその自閉症の「過去の記憶に囚われやすい」という特性のままに、過去の良い記憶のほうばかりを思い出すような幸福度の高い人間に育っていました。
しだいに癇癪も起こしづらくなっていき、同時に、人のことを好きになっていて、人と上手に関わる能力も育っていきました。
他には、ADHDの子供であれば、多動や忘れ物、不用意な発言をすることが多いのですが、”良い自分”が得られた場合、ADHDゆえに柔軟性を発揮できたり、人の発言で傷つかない強い心が得られたり、人の心を軽くできるような広い心を得やすいと思います。
”良い自分”をもつADHDの人ほど大人になったら、俯瞰的な視点をもつことができ、それらが人間関係や仕事などに大きく活かされます。
実際のところ、ADHDを持つ人はリスクを取るのを恐れない傾向があり、”良い自分”を得るほどに、リスクを恐れないこと自体がプラスに働くようになると思います。
発達障害とされていた個性は、未来には長所として活かすことが可能だと思います。
次に、”自分の中につくられた自分”による力は、私たちにどのように働いているか?について、私を例にしてお伝えいたします。
”自分の中につくられた自分”による力
私の例でお伝えすると、子供の頃には《いじめられっこな自分》が私の中にありました。
すると、不思議なのですが、やはりどの学校でもいじめられていました。
私の例でお伝えすると、子供の頃には《いじめられっこな自分》が私の中にありました。
すると、不思議なのですが、やはりどの学校でもいじめられていました。
私にはADHDのような性質があり、おそらく、それらも裏目に働いていたと思います。
ただ、その後に様々なことを経て、自分の中にいる自分が変わっていくにつれて、人から好かれるようになったり、逆に人気者になったり、さらにはリスクを恐れない部分が功を奏してか自営業もうまくいくようになっていました。
おそらく、これと近い体験をしたことのある人は多いと思います。
特に、親との関わりで出来た「自分」は根強い
大人になっても、幼少期の親との関わりで出来上がった自分は容易に消えるものではありません。
特に、自閉症などがある人であれば尚更でして、その後にも、その「自分」は影響をもたらしていくでしょう。
この事実は、子供が”良い自分”を身に着ける手助けができれば、子供の人生全体、さらには、自身の子供と関わるであろう人たちまで助けることができることを意味しています。
しかし、親は過去の自分を責める必要はない
ちなみに、過去の自身の行いをふりかえって「子供に対してあまり良い関わりができてなかったな…」と落ち込む必要はないと思います。
というのも、現在進行形で子供と親は関わりをつづけている以上、自身の変化は子供の中につくられる「自分」の変化にダイレクトにつながっています。
ですので、十分にその成果は見込めるでしょう。
そもそも、たとえ、子供との関わりがうまくできていなかったとしても、その後に、親が良いほうに変化ができれば、過去の問題はお互いの成長になるものだと思います。
まるでオセロの黒が白に変わるように、過去の悪い部分もプラスへと変化し、親と子供の成長につながるものだと思います。